表層だけを見て全てを悟ったように思う人は、
相場の世界でも少なくない。
水面を見ただけでは海の深さはわからない。
見えないところで行われている
喰うか喰われるかの闘いなど気付きもしない。

  • 今、ホルダーは何を考え次にどういう行動を起こすだろうか?
  • 売り方が儲かるタイミングはどこだろうか?
  • 大多数の参加者の心理が逆転するポイントはどこだろうか?
  • 鯨が動いたらどんな痕跡を残すだろうか?
  • 突出した出来高の本当に意図することはなんだろうか?

そういうところまで思考を深めていかないと、
時間とお金をただただ浪費するだけで終わる。

毎日の習慣が思考に刷り込まれていく作業の連続だから、
一つ一つの出来事に深い考察は不可欠なのである。

 
兵庫県のH様から
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悪夢の1カ月を口座残高だけでなく、
精神的に精算するためにも、総括させていただきます。
9月3日の売買がすべてでした。
その日は午前中に時間があり、
場中にマーケットをのぞいてしまいました。
そして、2日前に大きく窓を開けて
急落した大王製紙が反発気配に。
他の銘柄も騰げてきており、
「ついに底を打った」と判断。
2000株を購入し、
「急落することはないだろう」と
必須の逆指値を怠り、大引けの後、
マーケットを見て血が引きました。
すでに含み損が15万円に…。
1・場中にマーケットをのぞかない。
2・上昇トレンドに乗るのが鉄則。
落ちてくるナイフに手を出さない。
3・銘柄のブランドに惑わされない。
4・最初は100株、1000株を購入して、
トレンドを確認してから買い増しする。
5・「~だろう」「~のはずだ」は禁物。
すべてはチャートに従う。
6・購入すると同時に、逆指値を忘れない。
6つもルールを犯してしまっては、自業自得。
わずか3~4時間で、自己最悪の含み損に
達してしまいました。
大王製紙は7月頃から目をつけていた銘柄で、
上昇トレンドに乗っている頃は
額が大きくて購入できませんでした。
間違いなく、「この銘柄なら、すぐに反発する」
とのバイアスがありました。
そして、「開けた窓を閉めに行く」との格言も、
危険なナイフ掴みの背中を押しました。
7・かつて強かった銘柄が、今も強いとは限らない。
8・格言は格言であって、必ずそうなるわけではないし、
いつそうなるかも分からない。
以上の2点についても、十分すぎるほど分かっていました。
普通なら、翌9月4日の寄り付きで、
すべて売却すべきだったのでしょう。
しかし、その期に及んでも、
「せめて●万まで戻したところで売ろう」とホールド。
連日、少しずつ下げて、後から振り返ると、
きれいな、本当にきれいな下降トレンドの
チャートを描いていました(いや、今も描いています笑)。
当時は上下ともにボラティリティの激しい時期。
8月上旬までの利益が少しずつ目減りして、
「こんなはずでは」の焦りがあったのは確かです。
そして8月下旬に、「この不安定な地合いでは、
空売りをベースに売買していく」と決意したはずなのに、
一方では「どこかで反転する」との思い込みがありました。
なぜか。
それは、1月に株を始めて以来、
一方的に騰がっていく相場しか知らなかったからです。
知識として分かっていても、
可能性としてあるのは理解していても、
実際に日経平均株価が1万7千円を
割るところまで調整するなんて、
夢にも思っていませんでした。
そういう意味では、負け惜しみでも何でもなく、
再起不能の大怪我をする前に
ここを経験できて良かったです。
(途中省略)
大きな含み損を抱えた株を持つ心境や
行動パターンをしっかり胸に刻みつけようと、
いろいろ克明に記録しました。
2度と同じ失敗をしないために。
(途中省略)
基本に返って、原点を確認して、
再び慎重にエントリーを始めました。
地合いに左右されながらも、
強い銘柄はあくまで強く、
少しずつ利益を伸ばせています。
9月の相場、売買は、強い投資家になるために、
かけがいのないものを与えてくれた気がします。
とにかく、先生が普段おっしゃるように、
「まず資金を守る」ことが肝要なのだと、
今さらながら身をもって感じました。
10月はどんな報告ができるのでしょうか。
もっともっと経験して、少しずつ
強くなって行ければと痛切に思っています。
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8月9月は、やられた人がほとんどだと思います。
9割の人はそのまま退場させられ
辞めていくことになるんですが、
受講者様の中にもそのような人は多いと感じます。
流れのいい時には頻繁に報告をしていただけますが、
そうでない時には存在そのものを消すように
何も言ってこない。
そういう人を非難するわけではありません。
普通、人とはそういうもですから。
しかし、間違いなく言える事は、
H様のように失敗したときこそ真正面から向き合い、
その経験を次に活かそうとする人だけが、
次のステージに上がっていけるんだと私は思います。
そして、貴重な経験談を報告していただき、
特別実践レポートでシェアさせていただければ、
「あー、やっぱりそうだったんだ」と
思ってもらえる受講者様も増えることになる。
そういう受講者様が気付いたころには、
H様は一歩も二歩も先を行っている
ということなるんでしょうね。
損切りが大事だとか、ルールを守る事が大事だとか、
そういうことは素人でも知っている事です。
勝つためのコツで、それが常識とされていることです。
しかし、うっすらと心の中で、
もう一人のブラックな自分が囁くんです。
・今回に限って大丈夫だよ。
反発するからその時に悔しい思いをするよー。
・しっかりチャート分析したじゃないか。
だから大丈夫なんだよ。
・底を打ったんだよ。底を。
損切りなんかする奴は馬鹿だ。
こんなことをやっていれば
塩漬け株を作る事は目に見えています。
ある時ふと気付くんです。
「ルールを守らなければならない理由が腑に落ちた。
なんと愚かな事をしてきたんだろう」
と。
私も同じ経験をしていますし、
強い投資家として君臨する人たちも、皆、
同じような経験を重ねて、
単なる知識を知っている状態から
投資家としてのセオリーとして
身に付けているわけです。

  • 知らないということを知らない
  • 知らないということを知っている
  • 知っているということを知っている
  • 知っているということを知らない

この意味するところの深さは、
H様はすでに気付いていらっしゃると思います。