兵庫県のH様から

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 Q どうして、いつまでも、
   うまくいかない人がいると思いますか?
 A この問いに答えることは、とても重要です。
うまくいかなかった当時を検証し、当時と比較し、少しは成長した現在との違いをあぶり出し、さらに上のレベルへ行くためのイメージを作り上げるのに、必要不可欠な作業だと思うからです。
私が考えるに、成長を妨げるのは以下の3つのファクターです。
1・過去の失敗を生かさない。
2・自分で考えない、考える習慣がない。
3・すぐに安易な方向に流れる。
投資を始めて2年。売買を振り返ってみて、より強く印象に残っているのは、大きな損失を出したトレードばかりです。
大きな利益を出したトレードより、絶対数が多いからだけではありません。大損した取引は、とことん思考を巡らせ、その理由を追究するからです。
損切りできなかった、とんでもない高値をつかまされた、トレンドに逆らった、日足ばかり重視して、週足、月足の考察が欠けていたetc。
投資家としてのレベルごとにさまざまな失敗があり、検証を怠ると、同じ失敗を繰り返してしまう。
損失の痛みは、体に受ける傷と一緒で、直後は激痛でも、時間とともに少しずつ和らぎ、しまいには忘れてしまいます。
だから、痛みを忘れず、次に生かすために、自分の売買記録を残すことが必要なんです。検証する材料があれば、どこに問題点があったのか、一目瞭然。改善点も容易に見つけられます。
何が悪いのか発見できたら、どうすれば同じ失敗をしないで済むか、自分で考えるしかありません。
私の場合、投資を始めた直後、板が気になってばかりいて、目先の上がった下がったで、行き当たりばったりのトレードをしていました。
解決法は実に簡単。「場中に板を見ない」。これだけで感情トレードからは卒業できました。
損切りの重要性は……LC値を決めず、逆指値を入れず、青くなるほど大損するまで気づきませんでした(笑い)。
そう思うと、本当に成長させてくれたのは、大損トレードばかりです。
先生がよくおっしゃる「本当の答えは自分の中にある」は、今、実感を伴って胸に響いています。
自分が経験して、自分が考えて、自分が出した答えこそが、投資家としての自分の姿なんですものね。
先生の助言はあっても、何かを決めて、実行するのは自分自身。
どこかの本にあった「自分の売買に本当の意味で責任が取れるフェーズ」とは、こういう段階なのだと再認識した次第です。
そして、ここに到達するまで、決して近道はありませんでした。2年間で、短いながらも利益が出る期間があって、「あ、これで壁を突破したかな」と思った次の瞬間には、それ以上の損失を被って…。
象徴的だったのは、昨年の1月。
200万円の元金にもかかわらず、信用取引を使って、100株で150万円相当(当時)の村田製作所を200株も買う愚行を。
当時の心理状態は売買日誌を振り返るまでもなく、明確に覚えています。
「うわ、2カ月で30万円も騰げている。そうか。金額の大きい銘柄だと、リターンも大きいから、こりゃ、すぐに目標額達成だな」
そう、この思考には「損をする」「株価が下がった時にどう対処する」、何より「株価は何が起きるか分からない」という部分が完全欠如しています。土台を固める前に、短絡的に、大きなリターンを狙った、私史上、最悪のトレードでした。言うまでもなく、1、2月の大暴落に巻き込まれ、目も当てられないことになりました。
地道にチャートノックして、手にしたこともない確率の本を読み込んで、日々銘柄をチェックして、エントリーできるポイントを探り出して、利益目標、LC値を決めてシナリオ組んで、エントリーして、日々管理して、定期的に売買を検証して…。
こうやってサイクルを書き出すと、実際に資金を投入してエントリーするまでが勝負なのだと、明確に分かります。
以前、メールで書いたように、私は英語、フランス語、イタリア語を独学でマスターしました。
留学経験は一度もありません。それなのに、日常会話は問題なくこなし、会話を聞いた人から「住んでいたのですか」と驚かれます。
2003年にイタリア語を始めた時、僕が知っていた単語は「ありがとう」「こんにちは」プラス数語でした。
それなのに、ネイティブの先生(あえて日本語がほとんど話せない先生を選び)とマンツーマンで2時間、イタリア語を話すのです。
どうしても分からない時だけ英語で説明。あとはまるで理解のできない言葉を必死で聞き、必死で話そうとする。
「話せるようになりたい」というモチベーション、文法や単語を覚える地道な努力、うまくなるためにどうすればいいかという創意工夫。
この3つが揃わなければ、30歳を超えて何かを身につけるなんて、とても無理なんです。
ラジオで紹介される○ピード○ーニングって、語学教材がありますよね。英語のCDを流すだけで、身につくという、あれです。
断言できます。絶対に身につきません(笑)。
そりゃ、移動中にCDを流すだけで話せるようになったら、楽ですよね。勉強しなくていいのだから。
ただ、何の予備知識もない赤ちゃんが言葉を覚えるのと、日本語で何十年も生きてきた人が外国語を覚えるのを同じメカニズムで
論じるなんておかしいし、少し考えたら、分かるものでしょう。
ただ、楽な方へ流れる大衆はこの教材を選び、お金だけを垂れ流している状況は変わらないのです。
あ、株のセミナーなども、驚くほど一致する話ですね。
かつて、野村克也さんの著書に「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」ってありましたね。
株の場合も、同じでしょうか。
いや、勝っても負けても、自分がすべての売買に責任を持ち、納得できれば、それでOKなのでしょうね。
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どうしてうまくいかないか?
の反対側に、
どうしたらうまくいくか?
の答えを全て述べていただきました。
私自身も大変参考になります。
感謝いたします。