「会社が面白くないし、面白いと思う仕事もさせてもらえません。
上司は厳しくあたりつけるし、通勤時間は込んでイライラするし、
休みもろくにもらえない。ストレスもたまりまっくていますし、
株かFX専業でやりたいと思うんですが・・・」

このように考える人は少なくない。

先のような質問を受けたら、あなたならどう答えるだろうか?
せっかくの機会なので考えてみたらどうだろうか。
私はサラリーマン時代、会社側の待遇に不満を持っていた。
そこそこの経験(投資の分野ではない)も積んでいたし、
一級建築士の資格も持っていたので、
「いっそのこと独立してしまおう、
自分に限って成功しないはずはない・・・」
と、そんな安易な決断で独立してしまった。
なんとかがむしゃらに営業し始めたが、
やはりそう簡単には利益を上げることはできない。
考えてみれば、技術的経験はあっても営業の経験はない。
毎晩不安で不安で、床に入っても寝付くことができない。
そんなある時、商品先物の営業が訪問してきた。
当時、投資なんて考えたこともなかったし、
義理の母が数千万円ほど証券会社の言われるままに
数千万円やられたということも聞いていたので、
投資なんて素人が手を出すものではないと考えていた。
しかし、心が弱っているときは「うまい話し」になびいてしまうもの。
「社長さんのボーナス代りに、投資で殖やしてみませんか?
うちには、優秀なファンドマネージャーがいますから、
安心してお任せ下さい。
それで、今、パラジウムという商品が品薄で高騰してるんです。
他の方にもパラジウムをお勧めして喜んでもらってるんですが、
この絶好の機会に社長さんも是非、乗っておいてください。」
と、こんな感じの囁きだった。
今の私や、サラリーマン時代の私だったら、
そんな甘い言葉は一蹴してしまうだろうが、
やはり弱っている時や不安を抱えている時というのは、
悪魔の誘いに簡単に乗ってしまう。
それで、「100万円だけでも」と言うので、
100万円に限って乗っかってみることにした。
その後は、ご想像されたとおり。
張った方向とは逆に動き、
最初の100万円を失いたくないとの思いで、
追証、追証、また追証。
気がつけば、800万円ぐらいやられた。
にっちもさっちもいかなくなった・・・。
弱っている時というのはそんなものである。
絵に描いたようにそんなものである。
それから、私はお金について徹底的に勉強した。
投資も本気で勉強したし、相場の師匠について
盗めることはとことん盗んだ。
そんな貴重な経験のなかで、一番感じたことは、
『覚悟』である。
覚悟を持ってあきらめなければ、
目標としていることは必ず手に入る。
どのくらいの強い思いや、
本気度を持って挑戦していくか?

このことを、私は大きな失敗の中から学び取ることができた。
800万を失った経験も、追証に追われた経験も、
私にとっては貴重な経験となっている。
この経験を800万で買ったと思えば、
安くはないが無駄にはなっていない。
会社に勤めていれば、自分の思うようなことはできない。
それが雇われということであり、
組織の歯車の一部だということだ。
しんどいことのほうが多いし、
隣の芝が青く見えてしまうのも、
私はよくわかる。
だからといって、投げやりになってしまうと、
更におかしな方向に進んでしまうことになる。
しんどい仕事でも、会社にいる間は全力で
こなしていく事だ。
上司や先輩の顔色をうかがうのではなく、
その先にいるお客さんに喜んでもらうことに
集中することだ。
今の時代だから、一流企業といわれる会社に就職できても、
リストラや規模の縮小、事業再生といったことで
勤め先を失う人も少なくない。
だから、仕事があるだけでも、実はありがたいと
思うべきなのである。
そして、家に帰ってから投資の勉強を徹底的にすることだ。
テクニカルを学ぶこと。
ファンダメンタルを学ぶこと。
そして一番大事なこと、資金管理と投資家心理面の
勉強も疎かにしないこと。
テレビを見なければ、時間はいくらでもつくれる。
寝る時間を削れば、時間はつくれる。
同僚と一杯飲みに行く時間をなくすこと。
ポッドキャストを利用するなど、
工夫すれば通勤時間でも学ぶことはできる。
工夫すれば勉強の機会は豊富にある。
まずは、今の仕事を全力でこなしつつ、
投資の勉強も全力ですることだ。

デイトレードでなければ、
仕事しながらでも十分できる。
そして、半年ぐらい、できれば一年ぐらい継続して
負けない投資が実現できるようであれば、
独立し専業でやっていっても乗り越えられる。
簡単なことではないので、それ相当の努力が必要であり、
何より『覚悟』が必要だ。
逆にいえば、『覚悟』さえ決まれば、
何だってできるということだ。